海外大学生の就活について
Emma
トロント大学(カナダ)
犯罪学とジェンダー学
2022年度留学開始
海外大学に通う日本人はどのような就職活動を行っているかという情報はネットにもまだまだ少ない状況です。海外大学に入学したものの、その後の進路ってどうなるの?という疑問をお持ちの方に、少しでも参考になればと思い、私の経験を書いていきたいと思います。
私はトロント大学にて3年生前期を終え、現在冬休みに突入した段階ですが、就職活動をいったん終えました。卒業後は日本で就職をする予定です。
まず日本から来た、海外大学生としての進路はそのまま海外で就職 or 日本に帰国し就職するという大きく分けて2つの選択肢があるかと思います。(大学院などは除きます)。
カナダでの例を話すのですが、カナダは現在就職難、非労働人口も増えている状況で、かなり就活生にとっては就職が難しくなってきています。というのも、カナダは日本でよく言われる「ポテンシャル採用」とは違う、「経験主義」だからです。
大学生の間にどういった経験を積んできたのか。これも、日本でよく重視される課外活動などではなく、インターンシップなど、実際に社会で即戦力として使えるかどうかを判断できるような経験が重宝されます。
こういったトレンドを踏まえて、大学にはインターンシップを1年行うことを卒業の条件に含めるプログラムなども存在します。ビジネス学部の学生などは日ごろからLinkedInなどを通じ、気になる企業の社員とのコネクションを作りながら、チャンスを広げていきます。夏休みの4か月間をインターンシップに割く学生が多くいるような状況です。
トロント大学含めた多くの大学ではビジネスに特化した学部があり、そういった学生はシステムの恩恵を受ける、かつ周りの学生にも感化されるような状況にあると思うので、多くが夏インターンの経験などを通し、大手企業などに内定をもらうような状況にあるようです。
ビジネスの学生や、エンジニアの学生は大学で学んだことをそのまま生かせるような職に就きがちです。反対に、私のような、犯罪学やジェンダー学の専攻など、学んだことをそのまま生かす職というのが限られてくる者、もしくは大学以上の学業が求められる者は(弁護士ならロースクールなど)、現地での就職がより困難になります。自身の専攻とまったく違う分野での就職というのは、日本ほどしやすい環境にはありません。
このように、もちろん決して可能性がゼロなわけではありませんが、周りの学生や特に日本人の学生含め見ていると、カナダ現地での就職はかなりハイレベルな戦いとなっているようです。
それに反して、日本では「ポテンシャル採用」のため、インターンなどの実績以外にも、学業や、学業以外の課外活動での経験を評価し、その企業に入って活躍できるかどうか、マッチしているかというのを期待度で測られます。そのため、私のような犯罪学・ジェンダー学専攻でも、金融やビジネス、その他さまざまな業界に携わることができます。これはある意味、日本の良いところで、卒業後にそのままアカデミアの世界に残らず一旦社会経験をしたいと考えた私にとってはとてもありがたい仕組みでした。
そして何より、海外大学生の需要というのは、日本の企業にとってはとても高く存在しているものです。英語ができるのは当然として、海外にて、自分自身で生活するメンタリティが備わっている、挑戦する意欲がある点で大いに評価されやすいです。つまり、海外大学に通っていることは、日本での就職活動において基本的にアドバンテージとなって働きます。
海外にいながらどうやって日本の就職活動を行うかというと、基本的には北米では、11月にアメリカのボストンでBoston Career Forum(通称ボスキャリ)というものが3日にわたって開催され、日本から約200社(2024年例)が参加します(参加企業は日系も外資もどちらもいます。中にはアメリカポジションの募集などもありますが、多くは日本のオフィスでの勤務を条件とした募集となっています)。

このイベント当日にもwalk−inという形で選考を受けることもできますが、基本的には8月末~9月ごろからオンラインでESを提出、Webテストを受験し、面接を一つ一つ行っていき、早いものではボスキャリ前に内定が出たり、自身の選考に申し込んだタイミングによって、ボスキャリで二次・最終面接などが対面で行われたりもします。日本の学生と違い、企業の方と対面でお会いする機会がかなり限られてしまうので、ボストンでは面接以外にも企業の方とディナーに行くことができ、フランクにお話ができる場も持たれています(内定者のみのディナー、最終面接前後のディナー等様々あります)。
そのため、ボストン現地以外では基本的にはオンラインで面接が行われ、時には時差で夜中の2,3時などに面接があることもあり、学校生活の忙しさに加え、就職活動が加わった今学期はかなり肉体的にも精神的にも大変なセメスターだったかと思います。
就活のタイムラインも少し日本の学生とは違い、複雑になっているかもしれませんが、3年生になったタイミングで選考を開始したので、その点は日本の学生よりもかなり早く進んだかと思います。ただ、4年生にならないと卒業時期の関係で受けられない企業も多くありましたし、今年就活をしたおかげで、来年も再チャレンジできるような状況を作ることができたので、海外大学生で、日本で就職を考える人は、3年生から就職活動を開始すると多くのチャンスと出会えるというアドバンテージもさらにあります。
日本に戻る、海外に残るにせよ、海外大学生には様々なキャリアチャンスが広がっていることをぜひ参考にしていただけると幸いです。
そういった点を踏まえ、海外大学も選択の一つに含んでみるのもと良いかと思います。


2025.01